理学療法士
一応、曲がりなりにも。ホットケーキは理学療法士を目指しておりました。
劣等学生、問題学生、お荷物学生…などなど、悪評尽きず笑
2年生で夏と冬に約2週間ずつ実習へ行きます。
入院施設のある大きな病院から、診療所までとにかく病院に行く学生もいれば、特養など介護に行く学生もいる。もうそれは、決まってからのお楽しみ(決まってからの地獄)。
3年生は臨床実習になるのでみんな病院です。
ひと月かふた月か。そんなのを夏と冬にやって。
最後に卒試、その最後に国試。通れば見事、理学療法士のたまご。
国試は難しい。たしかに難しい。理学療法士はあふれかえっているほど人手が多すぎるので。
国試はむずかしくなる。
だけど。それ以上にやっかいなのが実習。
これは。学生の努力だけで通るものではなくて。
たとえば。学内の講師陣に派閥があって。
A派閥、B派閥があったとして。
ホットケーキはA派閥のお気に入りだとして。
実習はB派閥担当の実習先。
となれば、もう地獄。
ぽろっと「実習ってやっぱり大変ですよねー」。
その一言で実習中止にされる。
実際にやられたホットケーキ。
そういう世界なのです。
3週間、実習があったとすれば。
初めの数日は病院になれるために見学実習。
その後、1週間ちょっとで患者さんと関わって理学療法士のお仕事をしていく。
そして残りの1週間で症例レポートを仕上げる。
見学実習から患者さんと関わり始めるか。
という頃に、実習を中止されました。
学校に帰って、毎日登校して、課題やらトイレ掃除やらをするのか。
実習は落ちるけど、それでも見学実習だけして最後まで病院にいるのか。
普通に実習したいです!
大変ですねって、実習できませんって意味ではなくて!実習というものは、大変ですねって意味で!
というホットケーキの訴えもむなしく。
大変という言葉を聞いた以上は実習を中止せざるを得ない。学校に帰るか、見学実習にランクを落とすか。それはバイザーとこれから話す。
と、まあ。ドキドキびっくりドキドキ!
結局は見学実習になって。
その後、2週間。他の子は、やれ歩行がどうの、やれ疾患がどうの、やれ動作がどうの、やれ筋力がどうの…と盛り上がっているなか。
わたしは、ただついてまわるだけ。
ホットケーキさんは、どんな感じ?
そんな話にも、ついていけない。
お互いの患者さんの相談を学生同士やってたりする。他の学生の担当の患者さんを見学として見に行くこともあるので。
あなたから見てどんな感じに見えた?って、客観的意見を聞いたり。これはどう解釈する?と意見を聞いたり。
見かねたバイザーが提出したデイリーレポートと課題を抱えて、スーパーバイザーに訴えた。
彼女はこれだけ頑張っている!学校にわたしから、彼女の評価を伝えたい!
そして、残りの1週間で、通常実習に戻される。
タイムオーバー。
症例レポートを書くだけの材料が揃わない。
症例レポートを書くだけの時間がない。
純粋に学生の頑張りを評価するのではなくて。
派閥で評価される世界。
実習先でももちろん派閥があって。
バイザー側の派閥に気に入られたら良いけど。
嫌われて、仮に向こう側に気に入られようものなら。
いくら頑張っても。実習の結果は不可。
そういう世界。
一回目の実習はほんとうに普通で。わたしの頑張りや、その先をも(ホットケーキが理学療法士になったら)評価してくれて。毎日、考えることは、担当の患者さんのことのみだった。
冬からは地獄、あー地獄。それはそれはもう地獄。
患者さんのことなんて考える以前の問題だった。
2日目にして、やる気がないから、いてもらっては困る。実習中止するかしないかは、今日は保留にしておく。
と言われ。
実習中止されるかもしれないと学校に相談したら。
学校には「叱咤激励」だと。
その後、病院では他の学生との交流機会を絶たれ。
他の学生が担当の患者さんをもつなか。ホットケーキは、通院リハビリの見学のみ。
他の学生は、バイザーが「学生同士で話すこともあるだろう」と、同じ時間に昼食に行かせるところ。
ホットケーキは「俺の指示なく行くな(バイザー)、控え室で俺の指示を待っておけ(バイザー)」。
指示もなにも。その「俺」がなかなか神出鬼没。
やっと来たかと思えば。
「なにしてるの?あーお昼?俺もう行ったし。行くなら今から好きに行けば?帰ったら適当にリハ室で見学して、終わったらみんなと掃除して、控え室で待ってて」
みんな12時に行くのに。ホットケーキさんは14時とかザラザラザラ~
もう、みんな患者さんに会いに行ってます。
わたしはお昼ご飯のんきに食べる~笑
病院でどう過ごせば良いのか。
何をしたら良いのか。
ヤツ(俺俺バイザー)の機嫌をどうとればよいのか。
そんなことを毎日毎日考える。
ある日。いつものように、リハ室で通院の患者さんの見学をしていた。
患者さんがホットケーキにこんなことを言った。
負けたらあかんよ、あんたが先生になったらわたしお世話にならなあかんから。頑張って、応援してるよ。
刺し殺されました笑
胸にグサッときました。そして気がついた。
夏はあれだけ毎日、24時間、患者さんのことばかり考えていたのに。今はそうじゃない。
急に患者さんの笑顔と優しい心が痛くなった。
理学療法士が怖くなった。
リハ室が、まるで真空パックのように。狭苦しく息苦しく、生き苦しく(笑)、そして醜く感じた。
控え室、戻ります、と理学療法士に伝え。
控え室に戻る。
あーら大変。控え室から外に出られない。
あーら大変、あらまあ大変。
学校に連絡されて。
担当の講師に泣きながら「もう無理です」と訴える。(夏の実習の担当でもあった)
そして途中棄権する。
はい。次のリベンジは。上記の派閥問題。
結局、除籍になって。学生はおさらば。
だけど。今でも。やっぱりあの夏の自分が懐かしくなるときがある。
理学療法士のたまごのたまごとして、毎日考えていた物事が懐かしくなるときがある。
恋しくも。
だけど。あんな世界は二度と結構。
でも、同期はみんな。理学療法士になったんだなあと思うと。
毒ガスまみれの空気の汚い汚染されたちっさくてちっぽけなお店で。おば様や納豆などに振り回されながら。中ぶらりんのフリーター。
なにやってんだ。
いずれ困ることになるんだろうなあと思うと。その未来の先の暗さに。
なんの希望も抱けぬ。
ゆとり独特思考らしいです笑
ふと、学生のころのことが書きたくなりました。