のんびりdiary

日々、思い悩み感じたことを綴ります

逢ふことの 絶えてしなくはなかなかに 人をも身をも 恨みざらまし

IQOSという煙草が出た。あれは良いらしい。だから、手に入らない。どうすればいいのか。噂ではかっこいいと聞く。紙に比べたら便利で楽なのだそうだ。

……と世の中がIQOSに食らいついた当時。わたしは、こう思っていた。

「あいこすってなに?」

IQOSとは何ぞやを知ったころには、世の中は「当たり前のIQOS」となっていた。当時のわたしはこう思っていた。高いし、機械を持ち歩くなど面倒である。箱とライターで何が不自由であるか。楽ではないか。IQOSなど持たぬ。意地でも持たぬ。持ってたまるものか。持たぬ。
それがある日のこと。安くなっていたIQOSと、無駄遣いがしたくてたまらないわたしとがコンビニで出会った。使うつもりはなかったが「初めてで……」などと言いながら購入。そのため店員さんに変な顔でこう言われたことを覚えている。

「タバコがないと使えないですけど……いらないですか?大丈夫ですか?」

あ……いります。そうですよね、いりますよね。何も考えていなかったわたし。使うつもりはなかったが、帰宅後。一本くらいは吸ってやらねばIQOSもかわいそうである。そして、今ではわたしは「当たり前のIQOS」。世の中は「飽きたIQOS」。

このようにわたしは常に後手に回る。

後から良さに気が付かされる。その頃には誰かの手の中。
その誰かの手の中に定着してから欲しくなる、良く見える。
良さに気が付かされる。
ならば、最初からわたしの目の前に現れてくれるな。

会うこともなければこんな辛さも知らずに済んだであろうに。相手のこと、自分のこと恨むこともなかっただろうに。

わたしは常に後手に回る。わたしの恋は常に後手に回る。
胸がときめいた頃には、もう遅し。相手は誰かの相手様。

わたしは常に後手に回る。わたしの恋は常に後手に回る。
胸がときめく時遅し。早く出会えていれば、相手はわたしの相手様の関係になれたのだろうか。

わたしの恋は常に片想いである。「好きにな~れ」などと魔法をかけるや云々以前の問題である。片想いをする相手は常に誰かのお相手様。想うは自由、手出しは罪。手出しする器量などないが。

相手がいるからこその落ち着きがある。常にそこに惹かれるのだ。落ち着いて「わたし」を見てくれる。相手がいるからこそ、お相手様は余裕があるのだ。現実を知るまで時遅し。
「他人」という人間がこんなにも、自分ですらわからぬ「わたし」を知ろうと、また理解してくれるなんて。なんて心が楽なのだ。なんて心が温かくなるのだ。もしかしたら、わたしをこのまま連れ出してくれるやもしれぬ。何故ならこんなにも距離の近い「他人」は知らない。恋、か。

悩み葛藤し困惑し……と段階を経て「恋」という結論が出た直後には、砕け散る恋。

彼女がいる、だの。結婚してた、だの。婚約中、だの。


嘆けとて 月やはものを 思はする
かこち顔なる わが涙かな

そして砕け散る恋。散った恋を未練がましく集めては、風に吹かれ散っていく。繰り返して繰り返して。集めていたものはなんであったのか、と思ったころ、風に撒く。さようなら、と。
やっと叶わぬ恋が終わるのだ。ただ、ここまでが長い。
わたしは単純である、と思いながら、散った恋を集めて大切にする。突風に吹かれ散っていく。繰り返す。叶わぬ恋を繰り返す。

嘆けばいいと月が言ってるように思うけれども、これは月の言葉による涙ではなく自分の心の涙であろうに。

綺麗なままの恋、散らぬ恋、集めてる必要のない恋。
そんな日々はわたしにはいつしか来るのだろうか。

来ないから、必死に未練がましく散ったものを集めて大切に手の中で握っているのだ。